1999年11月14日(日) 読売新聞日曜版7面
安全なパン、地元原料で 日本学校農業クラブ全国大会 岩手・盛岡農高が文部大臣奨励賞 カルシウム2倍、商品化も
全国の農業高校生が、日ごろの研究の成果を発表する「第50回日本学校農業クラブ全国大会」(日本学校農業クラブ連盟など主催)が10月20、21の2日間、富山市をメーン会場に開かれました。プロジェクト発表会や意見発表などに約5000人の農業高校生らが参加しました。特に、最先端のバイオテクノロジーを駆使した試みや環境問題をテーマにしたすぐれた発表が目についたプロジェクト発表会を取材しました。(高2・伊藤敬子、尾崎玲奈記者)
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試作したパンにあんを入れる盛岡農高の生徒たち
3つの部門に分かれて行われたプロジェクト発表会では全国九ブロックから選ばれた27校が発表。「地域の文化や生活に関すること」を課題にした部門で最優秀賞・文部大臣奨励賞を受賞したのは、「21世紀の子供たちへ贈るパン〜安全で美味しいパンをめざして」というテーマで発表した岩手県立盛岡農業高校(農芸化学科3年村谷信明君ほか6人)です。
村谷君の家は、主に盛岡市内の小中学校に届ける学校給食用のパンを作っているパン屋さんです。3代目後継者である村谷君は、ふだんから原料となる外国産小麦の農薬問題や食品添加物の安全性が気になっていました。そこで、食品添加物を一切使わない、より安全なパン作りにグループで挑戦しました。
1年目は、パンが作りやすい外国産小麦粉を使用し、独自の生地を完成させました。あんやクリームなどの入った試作品を作り、文化祭で試食会を行ったところ高い評価を受けました。2年目は、この時、最も人気のあったあんパンを中心にさらに研究を進めました。
こだわったのは原料です。安全性を高めるために今度は地元岩手県産の小麦粉を使い、さらに日本人に足りないといわれるカルシウムの強化を考え、学校で飼っている乳牛のしぼりたての「盛農牛乳」を使いました。そしてついに、市販のパンに比べて低カロリーでカルシウムは2倍のパンが完成しました。
近くの保育園の園児にも食べてもらったところ大好評で、あんパン嫌いやアレルギー体質の園児までが食べるようになり、村谷君たちを驚かせました。
商品名を、牛乳からできたカルシウム豊富なパンという意味で「も〜Ca(カル)パン」と命名、現在では、市内のパン屋さんで商品化もされています。村谷君は「これからも健康を重視した、今までにない不思議な面白いパンを作って、子供たちに食べてもらいたい」と話していました。
この発表は「高校生らしい身近な課題に取り組み、具体的な成果をあげた」と高い評価を得ました。
◆真岡北陵高、最優秀賞V2
また、「農業経営や流通に関すること」を課題にした部門では、栃木県立真岡北陵(ほくりょう)高校(生物生産科2年猪野雄介君ほか11人)が、イチゴで村おこしをめざした経営改善の取り組みについて発表し、2年連続、最優秀賞・農林水産大臣賞を受賞しました。「技術の改善や普及に関すること」を課題にした部門では、野生ランの新品種を作り、地域の特産品として地域おこしに役立てたいと考えた福岡県立鞍手(くらて)農業高校(生産流通科3年小野千春さんほか6人)が同賞に輝きました。
このほか意見発表会の最優秀賞受賞者は次の通りです(敬称略)。
A部門=渡辺やよい(岡山・川上農業高)▽B部門=野田剛(文部大臣奨励賞、北海道・とわの森三愛高)▽C部門=臼井拓磨(奈良・田原本農業高)
更新担当者: 高2・林 清香記者
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